今年、2015年の前半が、早くも、終わりそうなので、急いで、前半の学ばせてもらったことをまとめてみたい。
ただし、すべて、人間の仮説。実践で、自然基準から観るとどうか、確かめてください。南の島、沖縄、沖永良部、奄美をめぐり、そして、北陸4県を回らせてもらい、その間にも、あちこちの農場を見せてもらったことを、まとめてみると。1)炭素資材、投入しても食べることができて、初めてエサになる

各地、特に、暖かいところで、問題になっているのが、チップを入れているが、一向に作物が育たない。3年間、投入し続けているが、段々生育が悪くなっている。むしろ、1年目の方が、マシとか、微生物資材として、チップはエサに適さないのではないか、という疑問が出ている。なるほど、畑を見てみると、ひと月たっても、苗が成長していない、枯れていくものもある。その畑をみると、入れたチップは、小指半分ぐらいの太さのものが、ごろごろ。聴いてみると、そのチップは、2,3年間、2mの高さに積んであってもの。真っ黒になっている。始めは、熱が出ていたが、今は、熱は出ていない。ということは、チップといっても、長年山にしてあったものは、土に混ぜても、微生物、特に、キノコ菌にとっては、ほとんど食べきったカス。それを食べるように強制されても、下痢まで行かないが、消化していない。糸状菌にとって、食べやすいモノは、細かい、糸状か薄い板状のもの。
でも、それは、山にして、熱が出ている間に、まだ、葉や細かい枝が混じっている間に、食べやすく、食べてしまった。2,3年どころか、1年ぐらいで、積んである間に、それだけをキノコ菌は食べてしまった。その残りの木くずだけの食べかすを、チップだとして、土の中に入れても、ほとんどエサにならない。特に、暖かい地方では、チップを1年以上も放置しないで、におい成分が消えたら、早めに使う必要があるのではなかろうか。

2)食べられない炭素資材に、チッ素パラパラすると腐敗になる

 では、チップを山にして、太い木くずばかりになったものは、どうしたらいいのか。一番簡単な手は、鶏糞か、米ぬかを、パラパラと振って、微生物を活性化して、食べにくいチップを食べてもらうことが考えられる。しかし、それは炭素資材のC/N比が高く太い幹、建設廃材に有効であっても、木くずだけの畑にそれをやると、食べられないものに。チッ素ばかり投入したことになり、畑は腐敗になる。実際、それをやって、ダイコンは大きくなったものの、どのダイコンにも虫が入った畑になってしまった。
 では、微生物の食べ残した木くずチップ、それしかない時はどうしたらいいか。それをさらにチッパーにかけ3次破砕するか、それが無理なら、それは来年のエサになることを期待して、土中の微生物、特に糸状菌を活発にしておかないと、今年モノができない。
 そこで提案したのは、糸状菌の食べ易いモノを土に入れること。例えば、カヤ、ススキ、ソルゴー、ムギ、・・・・。身の回りに探せばいろいろある。それを刻んで、土と浅く和える。とにかく、糸状菌が元気になるモノを与える、そうすれば作物はちゃんと育つ。そのことで、やっている人間自身がそれを知って、元気になる体験がなにより大事。自然が先生、畑が先生。

3) かもマルチでは、表面は乾燥するがその下は

 ある所で、サツマイモ苗植付け前の一ケ月位、畑が放置されていた。「透明ビニールシートを畑に掛けたらどうか」と提案し、「畑の微生物を活性化して、土を早く団粒化するのが狙いだ」と話をした。その方は早速行い、一ケ月後 「土が硬くなっていました」と報告をくれた。
 そうか、土が硬くなったのかと、実際に畑を見に行く。・・・・畑が先生。畑を、手で触ってみると、確かに、硬い。つぎに、「たんじゅん棒」を刺してみる。表面5cmぐらい、硬いところがある。だが、その下は、逆に、柔らかい。棒がぐっと刺さる。シートをかけてないところと比べてみると、明らかに、2倍ぐらい、柔らかくなっている。
 この透明ビニールシートのことを、「かもシート」と名付けている。そんなシートがあるわけではない。ハウスの不要になった透明シートを使っている。それをかけておくと、夏は半月、冬は、1,2か月で、微生物の発酵が進む。発酵のことを、かもすという。土が発酵型になり、団粒化すると、表面はむしろ硬くなるようだ。中が団粒化するのも、表面が硬くなるのも、人間がしたわけではない。微生物の仕業

4)乾燥防止に、有機マルチは、人間基準の発想では?

 暑い南の地域、あるいは、これから、梅雨が終わり、夏を迎える畑では、畑の乾燥を防ぐために、有機マルチをしているところがある。サトウキビであれば、その葉を敷き詰めて・・・。確かに、それは効果がある。でも、それは、肥料栽培の畑の場合であって、自然基準の畑ではどうだろう。
 ブラジルのカンカン照りの畑を見ても、有機マルチらしきものはない。土がむき出しで作物が元気に育っている。それは畑が発酵型になって、団粒化すれば表面は硬くなる。糸状菌などの発酵菌は空気と水分を確保するために、ねばいモノを出して土を団粒化する。 すると、雨がなくても必要なら、毛細管現象で水分をくみ上げる。と同時に、表面の土を硬くして水分の蒸散を防いでいる。そのため大雨が降っても畝は崩れにくい。
 だから有機マルチはいらない。というより有機マルチにする資材があれば、畑の表面に敷くより、土の表面に混ぜ込んで、糸状菌のエサに使う方が、自然基準の農の場合には、一石二鳥の効果があるのではなかろうか。作物がよく育って、乾燥防止にもなる。有機物マルチでは、微生物のエサにならないので、作物の生育にならない。(もちろん、エサが土中に十分ある場合は別だが、そんな畑はまだ少ない。)

5) 日本でサトウキビ畑をどうするか

 ブラジルのロベルト 迫さんがやっている、大型トラクターで、サブソイラーを引っ張って、80cm畑を引っ掻き、それから、サトウキビの残渣を集めて、畝を作り、苗を植える。そのことで、サトウキビの収量を、10アール当たり、通常の8トンから、23トンに、なったという。
 では、日本では、どうするか。奄美の植田さんがやり始めている。日本のサブソイラーは、3,40cmの深さがせいぜい。サブソイラーは、土を搔き上げるが、ただ、爪で引っ掻くだけの、プラソイラーがある。それなら、5,60cm土を切れる。それを水田跡の畑に、植田さんは使っている。
 今まで雨の度に水に浸かっていたのに、水がすぐに引くようになった。そのあと、ソルゴーを蒔いて、育てる。大きく育てるために、鶏糞を表面に少し散布している。ソルゴーがしっかり大きくなってから、それをモアで切り刻んで、畑に和える。これで準備完了。サトウキビの苗を、そこに植えている。まだ生育途中だがよさそうだ。
 これで、サトウキビがよくでき、収量が上がれば、それを漉き込んでいけばいいので、ソルゴーはいらなくなる。もしも、収量が上がらなければ、それまで、ソルゴーで補助する。

6) 廃菌床の腐敗をもみ殻で防ぎ、もみ殻を活かす

 廃菌床が手に入りやすい長野などでは、それは炭素資材として優れているし、比較的安い点でもいい。ただ、廃菌床は、C/N比が低く、日本では、雨が多いので、まだ土壌ができていない場合、たとえ「コーンコブでなく、チップを使った廃菌床でも、腐る可能性がある。
 そこで、腐らないうちに、新しい菌床を畑に薄く広げるとか、なるべく、雨の多いときは土に混ぜないなどの工夫をしている。
 ところが、富山・南砺の吉田さんがやっている、こんな方法もある。廃菌床と籾殻を半々ぐらいに混ぜて、畑に撒く。これだと、透水性もよく、また、C/N比も上がるためか、雨が続いても、腐りにくくなる。さらに良いことに、もみ殻の発酵が早くなり、もみ殻の有効活用が広がる。

7) 石の多い土地を開墾はスタブルカルチ

あちこち見て歩かせてもらうと、開拓者魂と出会うこともある。以前、群馬にいて、3・11で、ホウレンソウが売れなくなって、福井に移り、20年放棄されていた土地、木が生えて、山になっていたところを、開墾して、15ヘクタールの畑にして、一昨年から、やり始めている、杉田さん。
しかし、そこは、石がゴロゴロあって、トラクターでは、刃が持たない。修理ばかり。そこで、活躍しているのが、スタブルカルチ。
耕の畑の写真
耕の機械の写真
 15ヘクタールで、一年中、雪の北陸でも、キャベツを出荷し続けている。鶏糞や、化学肥料の力も借りながら、慣行の3分の1のチッ素量で、10アール当たり、平均、10トンという。
 しかも、働いているのは、男は、彼1人と、主婦4名。集荷したキャベツは、畑で直接トラクターの250キロコンテナに入れ、そのまま業者の車に載せるので、積み替えの手間はなし。

 

* 緊急・新情報

ブラジルのバナナを栽培している、山田勇次さんが、9月半ばごろ、一月近く、日本に来られるそうです。稲盛会に参加が主な目的ですが、日本のたんじゅん農の状況を、その機会に知りたいといっておられます。まだ、何も、詳細は決まっていません。ただ、何か所か、案内したいと思っています。もしも、ぜひ、お呼びしたいとか、交流会をと思われる方があれば、ご連絡くださいませ。

連絡先 井中 門  tanjun5s@gmail.com