2016年10月10日、掛川(静岡)の井中門宅に今回の稲作に関わったものが集まり、この年の稲作を振り返る会が行われました。以下はそのまとめです。交流会等で配布されているマニュアル「たんじゅん農 稲の1年暦(2016秋版)」を参考にしながらご覧ください。マニュアルは%e3%81%9f%e3%82%93%e3%81%98%e3%82%85%e3%82%93%e8%be%b2%e7%a8%b2%e3%81%ae%e4%b8%80%e5%b9%b4%e6%9a%a61%ef%bc%96%e7%a7%8b%e7%89%88

結果 ;

田圃(静岡県掛川市上西郷で四枚の田圃、合計面積約3.5反(推計) 当初2枚、2015年から3枚に、更に今年は新規に1枚増える。

畦に草を抑えるためのマルチをしており、畦を挟んで両側に各1m程の稲のないスペース(余白)

稲刈りの際、約2割のコンバイン分別ロス ;収穫時、コンバインが刈り取った稲から藁と籾に分別する。取り出した籾に含まれてしまう藁ゴミを見るとコンバインの分別能力が判るそうだ。苗づくりや籾摺りでお世話になっている桑原さん(4町歩米作専業)の見立て。

実収量 20俵 ;2割ロスを計算すると25俵(20÷0.8)

振り返り ;

<秋の田起こし>

マニュアル;

秋1回、深さ10cmで耕起。前作の藁・稲株をすき込む。深く混ぜ込むと深いところは酸素がないため微生物による分解がなされず、藁は土の中で腐敗する。

反省点;

2015.11月、トラクターはロータリーではなく、ハローで田起こししている。田起こしが浅く不十分だったのではないか。原因①ロータリーとハーローの刃の入り方が違うのにロータリーの感覚で耕起。ハーローで田起こしをやる場合には深めに起こすように心掛ける。根株が土の中に残ってしまったのではないかという心配。残った根株は腐食・腐敗へ。雑草の原因となり、分けつにも影響あるかも。
今秋は;田起こしの際、根株を掘るなど切り株含め微生物の餌になるかを確認して田起こしをしたい。腐敗へ進めば様々な影響が。田起こしでは、ハロー回転数を上げて(2速)土を細かくする。暗渠の排水口は再度確認し、水入りまでは蓋を外し乾田に。籾殻を(10~11月頃)入れたい。籾殻=ケイ素分。田圃には藁等の偏在があるので、なるべく均一に入っているように調整し、仕上げる。

春先2回(間1ヶ月で2月・3月頃)の田起こし ;マニュアル(代掻きまでに有機物を全て微生物の餌に。次作の準備であり、原則外から資材を入れない。前作収量が悪い場合、不足分だけ資材を入れる。水を入れ時には田圃の表面に藁等が無いように。)
反省点;3月田起こし後すぐに水を張りたいが、水張りに時間が掛かってしまった。水路の確保に注意。秋から都合3回の田起こしで藁等は微生物の餌として分解完了するはずが、分解が終了せず、代掻き時点まで残ってしまったのではないか。水を入れた際に例年以上に藁等有機物が多く浮遊していた。除去に苦労した覚えがある。
来年は;(2月末)田圃の水取入口から接続水路への取入口まで、水路自体の水通し(含;泥上げ)を数回しておく。水路管理は通年でのPointになる。3月の田起こし終了後、間をおかず田に水を入れる。この時藁、草など有機物が田圃に残っていないのが理想。

 

<代掻き>

マニュアル ;

水を発酵型に切り替える。浅く10cm、しかも10日おきに2~3回混ぜると草が抑えられる。代掻きを3~4回丁寧にやれば、トロトロ層ができ、水田雑草はほとんど出てこない。

前回 ;

4/18水入れ、4/19代掻き1回目、4/20 2回目、4/21 3回目、4/22 4回目、水入れ・代掻きは天候や水の有無でタイミングがずれる。
今回は ;この期間1ヶ月の丁寧さで収量が変わる。トロトロ層の厚さで収量が変わってくるのではないか(仮説)。前回は田圃の中ほどでトロトロ層が少なかったのではないか。分けつが少ない。水が捌けない。秋のロータリー(ハーロー)での土起こしが不十分だったのではないか。土起こし・田起こしの重要性を確認。

 

<田植え後>

マニュアル ;

①通常の苗づくり、通常の機会飢えでよい。 籾播きから田植えまで20~25日。

②草の種が田に随分残っている場合、始め2年は初期除草剤を田植えの時に使う。注)田植え5日以内しか効果がない「初期除草剤」と表示されているモノを使う。この除草剤は発芽防止剤で枯草効果はない。

③田植え後、葉の先が少し出る程度まで深水にすると、分けつ促進やヒエを抑える効果が期待できる。水深管理、稲刈り1カ月前までこの水深で維持。

④仲干し(慣行;根を伸ばす・空気を入れるため)せず、畦に180cm幅のマルチをすれば畦草刈りは無用。田植え後は他の世話は水管理のみ。

⑤水が発酵になればサヤミドリが生えてくる。酸素を発生させ雑草は生えない。虫や病気も出ない。出穂期のカメムシも出ない。逆に水が腐敗では、浮草・アオミドロ発生し、多様な雑草が出る。

⑥通常より稲刈りを一月位遅らせる。コメが美味しくなる。コメの窒素含有量は5%位になり、糖尿病にもよい。

反省 ;

畦の補修を意識すべき。前回は補修ができていなかったのか隣の田圃から水が浸み込んできたのではないかとの危惧。稲刈りの際に水が抜けきらない原因の一つか。畦は代掻き前に補修をすべきだったのでは。

初期除草剤;たんじゅん転換1年目の田だけ除草剤を入れた。焼き塩も水で溶き極薄く散水したが、ミネラル分補充の意味を込めて行った。

トロトロ層は微生物層であり、トロトロ層の維持が発酵状態の維持となる。初期の水不足ではトロトロ層が消えてしまう。慣行では分けつを活発にするために水温・地温を上げようと、水を少なくしようとする。しかしたんじゅんではトロトロ層を維持するために水深は深めで維持しようとする。

稲刈りの際は、田圃のぬかるみに苦労した。秋からの田起こしを丁寧に確認しながら行いたい。

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