二年目

転換初年度は、施肥農法の残存効果でそれなりに(間違って?)採れたりもします(笑)。2年目、前年そこそこの餌も入れたし、土も軟らかくなったようだ。冬野菜も、まあまあの出来。これは幸先良さそうだ。
と思いきや・・・。春、気温が上がり適度な降雨、雑草も良く伸びている。ところが土の様子がどうもおかしい。気温上昇により微生物が活性化している筈なのに、団粒化し始めた土が再び硬く・・・?。

土の前歴により転換後3ヶ月~1年半頃より、浄化の結果がマイナス現象として現れ、その後、土壌硝酸濃度が一定水準を下回るとプラス現象に転じます。変化があれば、何が起きても浄化の現れ。ただ、判断を誤ると前に進めません。
小食・素食

まだまだ浄化不十分。たとえ酸素の入りやすい表層でも、発酵と腐敗が何時でも置き換わる微妙な状態にあります。確かに微生物の活性化の結果なのですが、餌を入れ過ぎ有機物分解過程が逆転(細菌類優勢=不完全燃焼)したのです。
通気性不良(嫌気状態、心肺機能低下)はその誘因となります。土壌水分が抜けにくい季節では、若い雑草、作物残滓などの低炭素資材鋤込みは、より症状を悪化させます。浄化が不完全な内は、単に餌を与え微生物さえ増えれば良いというものではありません。この際にはEM菌などもマイナスに作用します。

代謝能力、心肺機能の低下した病人に、いきなり普通食はダメ。そして病人食(病気継続食)もダメ。病人食の多くは健康食ではあっても治療食とは限りません。病み上がりの半病人に、美食と過食は厳禁。最小限度量の素食(粗食にあらず)です。
つまり、負担のかからない質と量(低蛋白=低窒素、高糖質=高炭素、低脂質)。生き物は土の化身、原理はヒトも土も同じです。時には偏食も必要なのです。目的と意味が曖昧なまま、土に物を入れたり手を加えると逆効果になりかねません。
対処

転換初期は有機物の処理能力が低いため、若い雑草などは少し枯らし極表層(5cm以内)に混ぜるか、地表で分解させます。無機態窒素が無くなり、通気性が良くなるまでは、登熟していない物を混ぜてはいけません。植え付けの都合で登熟を待てないのであれば、伸びない内に土に混ぜてしまいます(除草)。

高炭素資材でC/N比を調整する場合は、分解しやすい状態(堆肥化しない程度)まで処理した物を少なめに使います。
土壌の腐敗は主に嫌気性菌による作用。硬化や窒素飢餓が起きそうであれば排水改善(排水溝、高畝、再度の耕起など)による通気性の確保が重要です。中耕なども効果があります。

特に春先の気温上昇期に起きやすい逆転現象ですが、転換初期の内は季節を問わず天候急変や管理ミスなどで起き、浄化が進み循環に滞りがなくなれば起きなくなります。ただ、原理を知らないと何故良くなるのか理解できず、やったことに対する評価もできません。
但し、同じ頃に起きる栄養失調状態との見極めができないと無残なことになります。冬期(乾期)は土壌中の気相が増え、好気性で低温に強い糸状菌が活性化。除草や中耕だけでも、有機物の消耗が起きます。対処法は正反対で餌の大量投与です。
春先の異変

ほぼ浄化が終わった転換後2年目、あるいは3年目の春先に起きる、大量降雨後の水質汚染(一過性)との見極めも必要です。これは表層部ではなく、中層から深層部で起きる汚染物質の溶出が原因。一時的な水質悪化現象で、土壌中の汚染が少しでもあると多少なりとも起きます。
ある程度まとまった降雨の3日後あたりから始まり、軽度なら虫食い。土壌の汚染度が高ければ病気の発生もあります。大量施肥の慣行農法なら生理(濃度)障害による萎れなどがみられることもあります。低地以外でも起きますが低地の方がより重度です。

この現象は農耕地だけでなく広範な問題です。排水処理が不十分で井戸水を使っている古い養鶏場などでは、卵が腐敗しやすくなり、暑くなる頃までには治まります。単に気候の変わり目と等閑視されがちですが、この時、人や家畜(牛、豚など)は罹病しやすくなります。
また、牧畜・農耕地帯や下水施設の不備な居住地区などでは、井戸水の硝酸濃度が一時的に上がり飲水に適さなくなったりもします。通常(高度汚染でない限り)一過性で、その後数回の大量降雨があれば治まります。ただ、汚染源を無くし浄化しない限り毎年繰り返し、年を追う毎に酷くなります。

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